このページでは、コロナ禍で中小企業を助けるために用意された「持続化給付金」の給付を受けた場合、健康保険組合の扶養判定の「収入」に含まれるのかについて筆者の体験と調べたことを書いています。扶養判定がどうなるのかだけを早く読みたい方は目次から「まとめ」に飛んでください。
【持続化給付金 】 もらいたいけれど扶養判定は…?
私は現在、配偶者の会社で加入している健康保険組合で配偶者の扶養となっています。
働き方は自由業。ライターやWebページの更新、試験監督やスポット派遣などの仕事で、年間の収入は毎年100万円ほど。(所得はもっと低くなります。)
自分の確定申告は開業届を出して青色申告です。
さて、令和2年の今年、新型コロナの影響もあり、昨年よりいちじるしく収入が減った月がありました。 そこで持続化給付金を申請しようと思ったのですが…
今年の収入100万円ほど
計算したところ、もらえる持続化給付金 約40万円
足すと収入約140万円
ここで問題発生です。
夫の会社の健康保険組合の
扶養要件の「収入の基準」は
同居している場合で
対象者の年収が130万円(60歳以上または障害者は180万円)未満で、被保険者の収入の2分の1未満であること
となっています。
持続化給付金の収入を足して計算すると扶養の収入の基準をオーバーしてしまうのです。
なおこういった場合何か仕事に使うものを買って経費にして所得を減らす、という方法をブログで書いている社労士さんもいらっしゃいましたが、 私の仕事は仕入れのあるものではないので、所得を計算して扶養判定(収入130万円以下)をくだすにあたり、「経費」はほとんど認められません。
なんとか「売上」で130万円にいかないようにするしかないのです。
しかし今年扶養を抜けたところで、来年は持続化給付金が無い(予定)なのですから、来年の収入が130万円を超えるとは思えません。来年低い収入で扶養に入っていないのでは、いつもの年よりもだいぶ家計が苦しくなってしまいます。
来年の収入が130万円を超えるとしても、自分の分の国民健康保険と厚生年金を払うことを考えると150万円くらいの収入はほしい… 自分にはまだその準備はできていません。
バリバリ働いて家事育児もしている方から見れば甘い!と思われてしまうかもしれませんが、諸々の事情もあり、できるなら扶養を抜けたくないのです。
さぁどうしよう…
なお最初にこれに気がついたのが6月ごろでした。
扶養を抜けることも考えメリットとデメリットを整理
持続化給付金をもらうこと、扶養を抜けることについて、将来的な事も考慮しつつメリットとデメリットを考えてみます。
持続化給付金をもらって 扶養を抜ける場合
- メリット…収入上限を気にせず稼ぐことができる
- デメリット…家事育児の時間が減る 子どもへのケアを今以上に減らさなければならない
持続化給付金をもらって 扶養を抜けない場合
この場合は扶養の基準を超えないよう仕事をセーブすることになります。
- メリット…仕事をセーブして余る時間で翌年以降に稼ぐネタや営業ツールをつくることができる。
- デメリット … 仕事をセーブすることで現在の取引先との関係が悪化するかもしれない
今年給付を受けると確実に130万円を超えるので、給付金は来年支給になるように申請する。(仕事のセーブも来年)
持続化給付金をもらって 扶養を抜けない 仕事もセーブしない場合
- メリット … なにも気にせずいつもどおりのペースで働ける
- デメリット … なし。今年収入が減った分の補填もできる
持続化給付金をもらわず 扶養を抜けない
- メリット…なにも気にせずいつもどおりのペースで働ける
- デメリット…収入が減った分の補填が無い
私としては・持続化給付金をもらって 扶養を抜けない 仕事もセーブしない を希望しているので、なんとかこれになれないかあがいた記録がこの記事となります。
すでに持続化給付金の申請〆切が近いですが、ご参考になれば幸いです。
ネットで情報収集
Google検索ではほとんど持続化給付金と扶養判定についての記述は見つからず、Twitterを検索。何人か同じ様な心配をされている方がいました。
またこのときに「協会けんぽ」では持続化給付金は一時的な収入であるため、扶養の判定の際、収入として含めない旨がわかりました。
まずは健康保険組合に直接確認
夫の会社の健康保険組合に電話し、扶養担当の方につないでもらいました。
事実をそのまま
「まだ申請していないが、持続化給付金を申請しようかと思っている。給付されたら収入として計算した場合、130万円をこえてしまう」
「収入が一時的なものでも扶養の判定に含めますか?」
「他の健康保険組合は(名前は出しませんでしたが協会けんぽのこと)は収入の計算に含めないという話も聞いたので、一応確認しておこうと思って」
というように相談しました。
すると担当さんは「それは課税されるものですか?」と聞いてきました。
持続化給付金は課税対象なので、その旨お伝えしたら、「課税のものだったら収入判定に関係してきます。」との答え。
「給付金と働いた額を足して130万円を超えれば扶養をはずれていただくことになります」
とのことでした。
私はこのとき失望しつつも(まだ私のほかにそういう問い合わせが無くて、ふだんの扶養判定のみの範囲で答えているのかな…)と思いました。
そこで
「扶養を抜けると困るのでとりあえずもらわないでおきます。また事情がかわることもあるかもしれないので、のちほど電話します。
と保留にしておきました。
なおこの際の相談では特に名前や保険証番号を訊ねられることはありませんでした。
なかなか事態は進まず
その後何か月か、どこかに持続化給付金を扶養判定に含めるかどうかの話が出ていないかネットを検索しました。
twitterや社労士さんのブログなどで、協会けんぽは判定に含めない、という情報はちょこちょこ出てくるものの、他の健保組合の情報は全く見つけられず…
自分が扶養で入っている健康保険組合のWebサイトにも「新型コロナにかかわる給付金などでの一時的な収入は扶養判定に含めません。」のお知らせが出ていないか、 ちょくちょく見に行ったのですが特に何も書かれず…
もう今年の申請はあきらめて、〆切ぎりぎりの来年の申請をすることにしました。
これなら持続化給付金が入っても確実に2021年の収入になります。申請するかどうするかもゆっくり考えられます。
大手メーカーの保険組合が持続化給付金を扶養の収入に含めないと明記
そして今日(2020年12月2日)また持続化給付金について検索していたところ、「トヨタ自動車健康保険組合」と「東芝健康保険組合」のページで
持続化給付金を扶養の収入に含めない旨が書かれているページを発見しました!
1.扶養家族の加入条件を一時的に緩和します 新型コロナウイルス感染症に関わる理由により、予定外に収入が増加した月は、収入基準の「月額」を免除します。 ※「年額」「給付金の日額」の基準に変更はございません。予定外に増加した月も含めて、 下記の金額を超えた場合は、加入の取消しとなります。ご注意ください。 ※勤務先に証明をいただく場合がございます。
給付金について 「一時金」に相当するものは「収入」に含みません。 (例:特別定額給付金、持続化給付金、感染症対応従事者慰労金)
引用:トヨタ自動車健康保険組合(https://www.toyotakenpo.jp/corona/corona4/)
被扶養者検認(再認定)に関すること(令和2年度) Q.今年の新型コロナウィルス感染症の対応で「特別定額給付金」や「持続化給付金」を受け取りました。収入に含めますか?
A.一時的な収入のため、年間の収入には含みません。
引用:東芝健康保険組合(http://www.toshiba-kenpo.or.jp/kenponet/faq/index.html#sainintei-12)
持続化給付金と明記してあること、協会けんぽに加えて、大きな健康保険組合がこのような対応をしているのであれば、おそらく夫の勤務先が加入する健保組合もこのような対応になることでしょう。
次回問合せの際にはトヨタ自動車健康保険組合・東芝健康保険組合・協会けんぽでは一時的な収入として計算に含めないそうなのですが…と言うことができます。
2020.12.20追記 茨城県市町村職員共済組合でも被扶養者の収入には含めませんの文言を見つけました。
1 各種支援金の取扱い 新型コロナウイルス感染症に伴う支援として支給される下記の給付金等は、恒常的収入には当たらな いため一時所得として取り扱い、被扶養者の収入には含めません。
◦持続化給付金
◦特別定額給付金
◦小学校休業等対応支援金
◦子育て世帯への臨時特別給付金
http://www.iba-kyo.com/hp/news_pdf/325/325_10.pdf
http://www.iba-kyo.com/hp/news_pdf/325/325_10.pdf
厚生労働省から健康保険組合への通達も発見
さらに厚生労働省から全国の健康保険協会にあてた連絡文書もあったのでリンクを貼っておきます。
3 今後1年間の収入を見込む際には、例えば、認定時(前回の確認時)には想定していなかった事情により、一時的に収入が増加し、直近3ヶ月の収入を年収に換算すると 130 万円以上となる場合であっても、直ちに被扶養者認定を取消すのではなく、過去の課税証明書、給与明細書、雇用契約書等と照らして、総合的に将来収入の見込みを判断すること。
引用:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T200427S0180.pdf
まとめ
持続化給付金は一時的な所得なので、扶養判定の収入計算には含めないという健康保険組合の表記を見つけることができ、また厚生労働省からもそのような通達が出ていることがわかりました。
これなら、扶養を抜けてしまうのでは…と心配していた私も、安心して持続化給付金申請ができます。
また年が明けてから、健康保険組合にももう一度連絡してみようと思います。もう事例も多数でていると思うのでスムーズに進むんじゃないかな。と期待して。
これを読んでいるあなたの社会保険の悩みも、また事業もいい方向にいけるようお祈りしてます。 そして日々のお仕事ほかお疲れさまです。今日も、明日からもがんばりましょう!