劇場版鬼滅の刃・無限列車編のPG12レイティングについて、どの部分がレイティングにかかったかの想像、また鑑賞した子どもに具体的に何を助言・指導したらよいか個人的に調べ、考えたことなどについて書いています。
筆者はアニメやゲームの性表現・暴力表現などについて消費者の視点から、また子どもを育てるようになってからは保護者の視点からずっと注目している者ではありますが、業界等に関わりがあるわけではありませんので、こちらの記事内容はあくまでも一個人の考え、感想です。
この記事には映画のネタバレを含みます。ご了承ください。
劇場版鬼滅の刃-無限列車編はPG12 鬼滅の刃劇場編
「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」は、2020年10月16日に劇場公開されたアニメーション作品です。
テレビアニメ1期の続編として原作7巻・8巻で描かれている無限列車での戦いが描かれています。
映倫のレイティングはPG12指定になりました。
劇場版「鬼滅の刃」無限列車編のレイティングにつきまして
劇場版 鬼滅の刃 公式ページ https://kimetsu.com/anime/news/?id=55333
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』のレイティングは【PG12】区分となります。
年齢に関係なくどなたでもご覧いただけます.
12歳未満の方は、保護者の助言・指導が必要です。
是非、多くの方にご覧いただければ幸いです。
PG12とは
PG12は映画倫理規定で指定された 「G」「PG12」「R15+」「R18+」の4つの区分のうちのひとつです。
PG12とは
PG12指定は、性・暴力・残酷・麻薬、 未成年役の飲酒・たばこ・自動車運転などの描写が含まれる作品や、ホラー映画などに適用され、12歳未満(小学生以下)の鑑賞には、成人保護者の助言や指導が適当とされる区分のことです。アニメ映画にも適用されます。
小学生以下のお子様にとっては不適切な表現が一部含まれていますがあくまでも「助言・指導が必要」であるということであり、12歳未満の入場や鑑賞が禁止というわけではありません。
(PG12よりも上のレイティング「R15+」「R18+」は対象年齢未満の方の入場・鑑賞が禁止です。)
他の映画でPG12レイティングに指定されたもの
劇場版鬼滅の刃と近い時期に公開され、PG12レイティングに指定された映画を一部紹介します。
アニメ
実写
私が鬼滅の刃を鑑賞してみてPG12相当がふさわしいと思った理由
劇場版鬼滅の刃PG12レイティングの指定に関して、私はとても賢明な判断だと思いました。それは殺傷・出血描写に加えて、夢から覚めるために繰り返す炭次郎の例の行動のところの表現についてです。
出血表現・殺傷表現
もちろん鬼滅の刃は鬼との闘いがメインの作品ですから、刀で鬼を斬った時、敵の攻撃を受けた時の出血表現があります。炭治郎の家族が惨殺された後のシーンや、煉獄さんが猗窩座(あかざ)に胴体に穴を開けられる等の過激な殺傷表現もあります。これだけでもPG12は妥当といえるでしょう。
(なお、これらのシーンが多くなくひとつだった場合や出血量が少ない場合、そして後述の表現が無かった場合にはG【全ての年齢層が鑑賞可能な区分】になった可能性はありだと思います。)
自殺・自傷に見える表現
上記の出血・殺傷表現については予想していたものですが、実際に劇場版を観てから思ったのが「自殺・自傷に見える表現」についてです。
(なお、私は鬼滅はアニメ1期を鑑賞、単行本を1-7まで読んだところで劇場版を鑑賞したので、無限列車編の全容を知ったのは映画を観た時でした。映画鑑賞後23巻まで読みました。)
夢から覚めるために、炭治郎が何度も何度も自分で自分の首を斬る。このシーンが特にレイティングを必要とすると判断されたのではないかな、と思いました。
(伊之助が「夢じゃねぇ!現実だ!」と止めるシーンもあり、お話し全体で問題がある、ということではありません。)
一部の子どもは「この世界は全部嘘で本当の自分の世界があるはず」って思いこむ時期があると思うのです。
そんなときに取り返しがつかないことが起こらないようにレーティング大事だと思います。
アニメ・ゲーム等の表現が与える影響
個人的なところでは子育てをしていて、熱に浮かされた時に見た夢を現実と思って怯え暴れる自分の子どもを見たことや、毎晩の夜驚症にヘトヘトになっている保護者が身近にいたことから、「どんな表現でも子どもに見せて問題ない」という説には賛成できません。
「映像表現の現実への影響」は科学的に証明されていないとは言われますが、影響が全くないという証明もまたありません。
前世紀の世紀末、前世ブームがあったときには実際に前世の記憶を求めて自殺未遂ごっこをしてしまう若者がいたりもし、ニュースにもなりました。
(実際に死ぬつもりは無かったような事件ですが、死ぬつもりが無くともはずみで死んでしまうこともあり危険な行為です。)
レイティングは実際に良くない行動につながるのを防ぐだけでなく「子どもが暴力的なアニメやゲームにばかり接していると現実と虚構の区別がつかず犯罪を起こす若者があらわれる」といったような論調が語られたときに「レイティングをしていますよ」ということでさまざまな表現を守る役目もあると思います。
PG12作品「子どもへの助言・指導」具体的に何を伝えよう?
PG12作品を子どもが観るときの助言・指導としてあげられるのは、「暴力シーンなどについてそれが作り話である、演技であることを教える」、「悪い事をしているシーンについて悪い事であると説明する」また作品を観る前に殺傷や出血を表現したシーンがあるよ、と教えたうえで見るかどうか一緒に考える、などのことが考えられると思います。
我が家の子どもは上記についてはもう理解していると感じられるので、劇場版鬼滅の刃を観た後には、「自分が今いるこの世界は実は夢で、とかニセモノで本当の世界があるはず、っていうことを思う時期が来るかもしれないけどそのとき命を落とすようなことをしないでね」ということを伝えました。
各家庭で子どもの「様々なコンテンツに慣れているかどうか」「刺激的なものへの感受性の強さ」などは違いがあると思います。各家庭で何を伝えるかは保護者が子どもに合わせて考えるのが良いでしょう。
CEROでの自殺・自傷の扱い
家庭用ゲームソフトのレイティング「CERO」での規定も参考になると思いますので挙げておきます。
CEROとは
CEROは家庭用ゲームソフトを対象として(パソコンゲームの一部も)暴力的、性的、反社会的な表現や、言語及び思想に関して独自の倫理規定を策定し、ゲームソフトの対象年齢を決定している特定非営利活動法人です。
(「対象年齢」は遊ぶことや購入を禁じるような強制的なものではなく、対象年齢以上の表現がゲーム内に含まれていることを示すことで購入の際のめやすとして
機能させることを目的としているものです。)
CEROのレイティングにかかる表現
CEROレイティングでは対象となる表現27項目を公表しています。
対象となる表現がある場合、その内容に応じてレイティングを与える(また対象項目に定められた上限を超える表現にはレイティングを与えない)としています。
反社会的行為表現系の項目の中に自殺・自傷がありますね。
レーティングの対象となる表現項目
性表現系
- キス
- 抱擁
- 下着の露出
- 性行為
- 裸体
- 性的なものを想起させる表現
- 不倫
- 排泄
- 性風俗業
- 水着・コスチューム
暴力表現
- 出血描写
- 身体の分離・欠損描写
- 死体描写
- 殺傷
- 恐怖
- 対戦格闘・ケンカ描写
反社会的行為表現系
- 犯罪描写
- 麻薬等薬物
- 虐待
- 非合法な飲酒及び喫煙
- 非合法なギャンブル
- 近親姦・性犯罪等
- 売春・買春
- 自殺・自傷
- 人身売買等
言語・思想関連表現系
- 言語関連の不適切な描写
- 思想関連の不適切な描写
CERO公式ページ https://www.cero.gr.jp/publics/index/17/
まとめ
以上、劇場版鬼滅の刃のPG12指定について、PG12とはどういった指定か、PG12作品「子どもへの助言・指導」具体的に何を伝えるかなどについてお伝えしました。